まだ会ったことのない君を これから俺は探しに行く。
『君の名は。』立花 瀧
某日
前日に決まった大阪出張。
当日の夕方まで仕事をし、急いで新幹線に飛び乗った。
21時過ぎに大阪に到着し、同僚と合流。
打ち合わせを兼ねた会食。
話に花が咲き、時間は24時少し前。
同僚の計らいで車でホテルまで送ってもらうことになった。
ホテル前で降ろしてもらい、入ろうとすると、目の前を知った顔が通過しようとしていた。
「●●さん!」
『おー、タダオやないか!!久しぶりやな(^^)てか、なんでここにおるん?笑』
「急遽、仕事の都合で出張になったので(^^)てか、すごい偶然ですね!こんなところでばったり会うなんて笑」
この人は大阪転勤になるまで色々とお世話になってた先輩だ。
仕事終わりに同僚と飲んでいて、今から帰るとのこと。
数ヶ月ぶりの再会でお互いテンションが上がる。
ただ、終電ギリギリのため、話もそこそこに次回飲み行く約束をして別れた。
この時はこんな偶然もあるもんだな、と驚いたがこれから色んな偶然が重なるとは夢にも思っていなかった。
ホテルにチェックイン。
ホテルの都合でシングルルームが空いておらず、何故かベッド4つの部屋に通された。
残りのベッド3つは荷物置きに使ってくださいと言われたが、何をどう置けばいいのやら。
隣の部屋から聞こえてくるうめき声にも似た喘ぎ声を子守唄にして、その日は眠りについた・・・。
翌日。
朝から準備をし、仕事は順調に進んだ。
お昼は同僚と適当に街をぶらつき、良さげなお店を発見し、何気ない気持ちで入った。
ランチの値段もリーズナブルでお腹も気持ちも満たして、そのお店を後にした。
同じ場所にまた来ることになるとは想像もしてなかった。
仕事がとても順調で、予定していたよりも早く終わりそうだった。
「急遽とはいえ、せっかく大阪まで来たのだから、ナンパして帰らないのはもったいないな。」
そう思った俺は、大阪の尊敬するナンパ師である火の鳥さんにメールを送った。
「今夜、時間あればソロストしようと思うのですが、オススメの連れ出し先とかあれば教えてください!」
火の鳥さんは大阪夏の陣で5即しており、世代も近いため、勝手に親近感を覚えている。
すぐさま返事が来た。
『対決で俺が2即目に使った居酒屋良いすよー、安いし。』
このメールとともにお店情報を送ってくれた火の鳥さん。
「連れ出せたら、写真すぐ送りますね!」
せっかく教えて頂いた情報を無駄にするわけにはいかない。
必ず写真を送ると心に誓い、仕事のスピードをさらにあげた。
18時過ぎに仕事が終わり、キャリーケースを持ったまま、適当にぶらついた。
ふと目の前にひときわ目立つ建物が顔を覗かせた。
グランフロント大阪。
大阪駅近くにそびえ建つ大型複合商業施設。
ここなら、人の出入りも多いし、声かけ数には困らないだろう。
ただ、キャリーケースを持ったまま、ナンパするのもどうかと思い、コインロッカーの場所聞きナンパをすることに。
歩きながら適当に声をかけるもなかなか連れ出せそうな女の子がいない。
そう簡単に連れ出しなんてできない。
だからこそ、即った時の喜びはひとしおなのなだろうと思いつつ、周りを見ながら歩いていた。
ふと入り口付近で1人で手すりに腰掛けている女の子を発見。
見た目は滝川クリステル似で可愛い。
「すみません、この辺でコインロッカー知りませんか?」
『コインロッカーですか?』
「はい(^^)このキャリーケース預けて、少しだけ大阪観光と先輩に勧められた美味しいお店にご飯食べに行こうと思いまして。」
『確か梅田駅の方に行けば、たくさんあったと思いますよ(^^)』
「梅田駅ですね、ありがとうございます(^^)ただ、1つ重大な問題がありまして…」
『何かあったんですか?』
「私、この辺詳しくなくて、梅田駅の方向がわからず、困ってまして。なんせ昨日、急遽東京から出張で来たもので…」
『あ、大阪に初めていらしたんですね(^^)』
「いやー、実はもう10回以上は来てます笑。」
『あ、けっこう来られてるんですね笑』
「何回来ても、大阪は新鮮すぎて道がよく覚えられなくて(^^)毎回、ドキドキしてます!」
『笑笑。お兄さん、面白いですね。』
適当に話していたにもかかわらず、会話のキャッチボールができていた。
彼女は20歳は専門学生であった。
実習がひと段落し、今夜は友達とご飯を食べに行く約束をしていたが、どうやらその友達は急にバイトになったらしく、このまま帰ろうかどうしようかと悩んでいたようだ。
「お姉さん、これはまさにシンクロニシティですね!」
『シンクロニシティ??』
「そうです、シンクロニシティです(^^)偶然という名の必然。世の中で起こるすべての出来事は偶然ではなく、起こるべくした起こっている必然的な出来事、という話をどこかで聞いたような聞かなかったような!」
『なんですか、それ笑。』
「とにかく、これは私と美味しいものを食べて帰りなさい、という神様からのお告げですよ、きっと(^O^)/」
『神様のお告げ笑。』
「迷える子羊に愛の手を差し伸べても悪くないと思いますよ。まぁ、実際にコインロッカーへも美味しい居酒屋へも道に迷ってたどり着けず、ここに漂流してきたわけですが笑。」
『お兄さん、どう見ても子羊には見えないですよ笑。』
「まぁまぁ、そう言わずに。私の大阪出張に花を添えても、バチは当たらないと思いますよ(^^)」
なんだかんだ話して、どうにか一緒に居酒屋に行くことが出来そうだ。
実際、火の鳥さんに教えてもらった居酒屋の場所も把握できてなかったので彼女に先導してもらうことにした。
「キャリーケースはどうしましょうか?」
『筋トレだと思って、居酒屋まで持って行くことにします。それに預けに行く時間がなんかもったいなくて(^^)』
『確かにお兄さん、細いですもんね笑』
「そうなんですよ、私意外とガリガリなんですよー。て、誰が板倉やねん!!」
『板倉笑。お兄さん、もう少し頑張れば、お笑い芸人なれそうですね(^^)笑』
「なんて嬉しいお言葉。実は今、松竹芸能養成学校に通ってまして、尊敬している先輩芸人はダウンタウンさんです(^^)」
『なんか違う気がする笑。』
「笑笑」
意味不明のボケなどを交えつつ、女の子を飽きさせないようにした。
関西の女の子だからなのか、上手く会話に乗ってきてくれる。
お互い少しずつ壁がなくなってきて、お互いのことを話しながら、歩く。
住んでる場所、仕事、休日の過ごし方、好きなもの、本当にたわいもない会話。
自然と彼女もいろいろなことを話してくれた。
彼女にナビをしてもらいながら、居酒屋へと近づいてきた。
しかし、なにやら見覚えのある建物。
『あ!』
そう。ここはお昼に何気なくランチを食べにきたビルであった。
驚きのあまり、彼女にそのことを話す。
「そんなこともあるんですね!これがさっき話してたシンクロニシティですね笑」
『これにはおれも驚いた笑』
こういうハプニングは相手との心の距離を近づけるいいキッカケになる。
居酒屋に入り、それぞれに1杯目を注文。
お店に入ってからは家族・兄弟のこと、学校のこと、恋愛経験など、よりプライベートの会話を意識した。
今、彼氏はいないが、好きな人はいるとのこと。
『好きな人といい雰囲気になったり、付き合ったりとかはなさそうなの?』
「んー、ないかなー。」
『そうなんだねー。色々あるんだな。』
その後も今までの経験や恋愛遍歴を聞き出した。
色々と話すうちに甘えん坊で人懐っこい性格を確信した。
こういう時に必ずする質問がある。
『間違ってたらゴメンだけど、絶対キス好きでしょ?』
「!?。なんでわかったの?」
『キスは心を許した特別な人としかしないものでしょ?少なからず、俺には気を許してくれるだろうし、なんとなくキスしたそうだったから笑。』
「なにそれー笑」
茶化すもののまんざらでもない反応。
『正直な話、あのとき声かけたのは実はタイプだったから声かけたんだよ。話してて楽しいし、いい意味で裏切ってもらえた(^^)』
「またまたぁ笑」
『ストレートに言うと、〇〇とキスしたいと思ってる。』
「え?」
『俺、結構運命って信じる方なんだよね。全ては偶然と思われるけど、この出会いは必然だったと思ってる。そうでなければ、こんなに話が盛り上がることもないし、そもそも今ここに一緒にいないよ(^^)』
「そうかもしれないね(^^)」
『だから、キスするの運命なんだよ(^^)その運命を信じるかどうかは〇〇次第だし、運命には逆らえないんだよ。だから、今から目を閉じて運命を受け入れてみよう。』
しばらく、お互いの目を見つめた。
少しして彼女は目を閉じた。
口づけを交わし、耳元でそっと次の行き先を告げる。
彼女は運命に従うと言わんばかりに首を縦に振った。
会ったその日にセックスなんてありえない。
そう考える人は多い。
ただ、俺はそうは思わない。
どれだけ長く過ごしたかは重要じゃない。
短くても、どれだけ濃く過ごせたか。
人生は思っている以上に短い。
想いをストレートに伝える大切さを俺はナンパで知った。
行為後、彼女に改めて聞いてみた。
『好きな人と結ばれないのは辛いよな。もしや、相手は既婚者とか?』
「ううん、セフレなんだよね。簡単に体許すセフレは恋愛対象にはならん、て言われたから笑」
笑いながら話す彼女の瞳の奥に一握の寂しさを感じた。
人それぞれ多少の苦しみを抱えながら生きてるんだな。
彼女のためにできることはなんだろう。
そう真剣に考えた。
『よし!また俺が大阪来たときはユニバに行こう!!たまには普通にキャッキャっするのも楽しいぞ(^^)』
「ホンマに?めっちゃ嬉しい!楽しみにしておく(^^)」
約束とはいつも紙一重。
守れば、信用が少しずつ積み重なり、破れば一瞬にして崩れ去る。
1つ1つの出会いを大切にしたい。
たとえ、ナンパであったとしても。
門限があるため、彼女を駅まで見送る。
「必ずまた会おうね!」
『もちろん(^^)』
笑顔で手を振る彼女に俺も自然と笑顔になる。
「いつ会えるかわからないけど、また遊ぼうな(^^)」
改札の向こう側から彼女にそう伝え、背中を見守った。
このときはまさか3日後に再会するとも知らずに。
そして、実はこの後、以前にバンゲしていた女の子の家に泊まり、準即した。
この話はまた次のブログで。
最後に一言だけ。
大阪、最高かよ!
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